
こんにちは!
前回は「つわりがしんどい!どうすればいいの!?」というテーマで、おもにつわりとはなにか、どんな時に病院を受診すればいいかを中心にお話してきました。
前編だけだとみなさんから、「医者に治療が必要じゃないって言われても、でもしんどいんだからなんとかしてよ~!!」という声が聞こえてきそうです。
そこで後編では、生活する上でつわりとどのように付き合っていけばいいかをお話ししていきますね。
今日お伝えしたいこと
後半の結論は、「食べ物も飲み物もちょっとずつ!サプリも活用し時に周りに頼りつつ、自分が食べたいと思えるもの探そう!!」です!
では解説していきますね。
つわりとうまく付き合っていくためには?
つわりの何よりの治療は、「心身の安静と休養」と言われています。
現に生活習慣を見直すことや食生活を調整することで、つわりが大きく改善することが複数の研究でわかっているんです。
では日常生活で、具体的にどのようなことに気を付ければよいのでしょうか。
具体的にどんなことに気を付ければいいの?
つわりが改善する方法は大きな個人差があるので、インターネットで検索すると非常に多くの「体験談」が出てくるでしょう。
私からは医師として、研究で効果があると認められているポイントを説明していきます。
気を付けていただきたいことを箇条書きすると以下の通りです。
- 食事は1-2時間ごとに少量ずつ摂取しましょう
- 水分は食事とは分けて摂取しましょう
- においの強い食べ物は冷まして食べましょう
- 朝は胃酸を吸収してくれるものを食べましょう
- 自身の食べやすいものを探しましょう
- ビタミンB6を摂取しましょう
- まわりに助けを求めましょう
順番に詳しく解説していきますね!
食事や水分摂取のタイミングは?
つわりの原因のひとつに、妊娠中に分泌される女性ホルモンの影響で胃をはじめとした消化管の運動が抑制されるというのがあります。
そのため普段の量の食事をとってしまうと、胃の膨満感が強くなってしまうのです。
食事は1~2時間おきに少しずつ食べるのをお勧めします。
また食事の時に水分も同時にとってしまうと、水分で胃が張ってしまい本来食べられたはずの食事も食べられなくなってしまいます。
気持ち悪くて食事を水分で流し込もうとしてしまいがちですが、水分摂取はお食事とは別で行うのが望ましいです。
つわりにおすすめのメニューは?
ではどのような食事がつわりの時に最適なのでしょうか。
こちらは個人差が大きく非常に難しい問題です。
妊娠中は非常ににおいに敏感になります。
特に温かい食べ物はにおいが強いため、冷たい食べ物を選んで食べる、あるいはにおいの強い食べ物は少し冷ましてから食べるのがおすすめです。
またつわりは朝に症状が強く出やすいです。
朝には胃袋にたまっている胃酸を吸収してくれる食べ物を摂取するのがよいでしょう。
具体的にはトーストやクラッカー、プレッツェルなどの乾燥した炭水化物がおすすめです。
起きてすぐに気持ちが悪くなることが多い方は、枕元にクラッカーを置いておくのもいいでしょう。
食べやすいと感じるものは人によってバラバラですが、医学的につわりに適しているとされている食べ物には以下のようなものがあります。
- 消化のいい炭水化物:白米、芋、シリアル、パン、くだものなど
- 低脂肪の蛋白質:豚肉、焼き魚、卵、豆類など
- やわらかいもの:ゼリー、プリン、スープなど
私の患者さんは、とうふそうめんや冷しゃぶ、生姜スープなどを食べておられる方が多い印象ですね。
もっとも、人によって食べやすいものは異なります。
この記事を参考にしつつ、これなら自分でも食べられると思えるものを探してみてください。
前編で詳しく書きましたが、つわりの時期に無理してでも栄養を取らないと赤ちゃんが成長できなくなるよ、なんてことはありません!
この時期に一時的に栄養バランスが偏ってしまうのは仕方のないことです。
マックのフライドポテトしか食べられないのであればそれでも構いません!
それ以上に妊婦さんが少しでもストレスなくつわりを乗り切ることの方がよほど重要なんです!
※つわりが落ち着いたらバランスのいい食生活に戻してくださいね(笑)
ビタミンB6ってつわりの時期に大切なの?
先ほど、つわりの時期は栄養バランスは二の次!食べられるものを食べることの方が大切!とお話ししましたね。
でも実は、つわりを乗り切るうえで1個だけ意識していただきたい栄養素があるんです。
それが「ビタミンB6」です。
ビタミンB6は私たちが摂取したタンパク質を分解し、実際に体内で使用できる「アミノ酸」に作り替える上で重要な働きを担っています。
またビタミンB6は、セロトニンやドパミン、GABAといったストレス緩和に関わる物質の合成にも関わってくるんです。
妊娠すると普段より多くのビタミンB6が必要となります。
ビタミンB6が不足すると吐き気や嘔吐が誘発されることも知られているため、ビタミンB6を補ってあげることはつわりの期間にはとても重要です。
現にアメリカの産婦人科学会は、つわりで最も効果的な「治療薬」としてビタミンB6を推奨しているんです。
ビタミンB6を多く含む食べものとしては、鶏肉やバナナなどがあります。
しかし、ただでさえつわりの症状がしんどいのに食べ物からビタミンB6を摂取するのは時に困難ですよね。
そのようなときはサプリメントで補ってあげることがとても効果的です。
先日の記事、『妊娠中に飲んだ方がいいサプリメントってあるの!?』には具体的におすすめしたいサプリメントも書いてあるので、ご参考になさってくださいね!
心の休息もとっても大切!!
さて、ここまで身体のお話ばかりしてきました。
最初に述べた通り、つわりの何よりの治療は「心身の安静と休養」です。
つまりつわりを乗り切るには、身体と同じくらい心を休めてあげることが重要なんです!
ストレスを和らげるって、言葉でいうのは簡単でも実践するのはすごく難しいと思います。
仕事があって、家事があって、上の子のお世話もあって。。
同じ状況で会社の同僚は普通にお仕事してたし、家でつらくても旦那はお仕事で家にいないから頼れないし、、
今の妊婦さんは本当に多くのストレスにさらされ、同時に周りに頼りづらい環境にいると思います。
まだおなかも大きくないため周りに理解してもらいづらいですが、妊婦さんは小さな命を育てているんです。
それはあなたにしかできない、とても尊い営みです。
今あなたの中に宿る命を育ててあげることは、だれも代わることはできません。
だからせめて、他の人に代わってもらえるお仕事は、周りに頼って代わってもらっていいんです。
UBER eatsや家事代行サービスなどを活用するのもいいでしょう。
つわりの時期だけ実家に里帰りする方もいらっしゃいます。
産婦人科医に相談し、『母性健康管理指導事項連絡カード』を作成してもらえば、お仕事の制限もしてもらえるでしょう。
周りの方の協力を得ることは時にすごく難しいことだと思います。
ただ本当につらくなってご自身に余裕がなくなってしまう前に、自分がどのようことが辛く、何をサポートしてほしいか、周りに相談してみてください。
今日のまとめ
今回は前編・後編にわたって、長話に付き合っていただきありがとうございました。
後半の「食べ物も飲み物もちょっとずつ!サプリも活用し時に周りに頼りつつ、自分が食べたいと思えるもの探そう!!」もご理解いただけましたでしょうか。
つわりは自分も周りの方も、ある種「しょうがないもの」とあきらめている部分があると思います。
でもあなたの生活を少し見直すだけで、上手につわりと付き合う方法はきっと見つかります。
周りの方や病院をうまく頼ってください。
そして前半の話になりますが、本当に治療が必要な身体のSOSサインを見逃さないであげてください。
今日もお疲れさまでした!