突然ですが皆さんは、「会陰切開」という言葉を聞いたことがありますか?赤ちゃんが産まれてくる時におまたに切開を入れることを「会陰切開」といいます。
必要なら仕方がないけど、できれば会陰切開してほしくないという方がほとんどですよね。今日はなるべく会陰切開をしなくて済むために「会陰マッサージ」について解説していきます!
今日お伝えしたいこと
今日お伝えしたいことは、「妊娠35週を超えたら無理ない範囲で会陰マッサージを!痛みや感染症状、切迫早産徴候があればすぐに中止を!」です。
では解説を始めていきますね。
1) 会陰切開ってなんのためにするの?

そもそもおまたを切って縫ってなんてしないでほしいですよね。会陰切開は何のためにするんでしょうか。会陰切開をする目的は主に以下の2つが言われています。
- 赤ちゃんが産まれるまでの時間を短縮する
- 自然におまたが裂けるのを防ぐ
順番に解説していきましょう。
赤ちゃんが産まれるまでの時間を短縮する
赤ちゃんの通り道を順番にみていくと、①まずは骨盤の骨や筋肉を通過し、②次に腟を通過し、③そして最後に会陰(おまた)を通ります。会陰切開は腟と会陰に切り込みを入れることで、②腟と③会陰を通りやすくしてくれます。
実は会陰切開を行うことでどのくらいお産の時間が短くなるかの研究は複数存在します。ただどの研究でも明確にお産の時間が短縮するという証拠は得られませんでした。なので「会陰切開をするとお産までの時間が短縮する」と断言することはできません。
しかし分娩に関わっている私たちの経験上、赤ちゃんが産まれる直前に苦しくなってしまうことはよくあります。その際に少しでも負担を少なく生まれてきてもらうために会陰切開は有用であると考えられています。特に急いで分娩を終える必要がある場合に吸引・鉗子分娩が行われることがありますが、このような場合にも会陰切開をすることが多いです。
自然におまたが裂けるのを防ぐ
実は初産婦さんの約9割が、お産の時におまたに傷ができると言われています。特に気を付けなければいけないのは、おまたが下向きに切れてしまうことです。傷が大きい方では肛門までつながってしまうこともあるんです。
これを防ぐために、敢えておまたから斜め下方向に切開を入れることが多いです。この方法によってお産の傷が肛門や直腸までつながってしまう確率を約40%減らすことができることが知られています。
2) 会陰マッサージって効果あるの?

会陰マッサージとは会陰(おまた)の皮膚を伸ばしてあげるためのマッサージのことを指します。お産の時にも助産師さんが会陰マッサージを行ってくれるのですが、妊娠中から自分で会陰マッサージをすることもできます。
自分で行う会陰マッサージの効果は、複数の研究で実証されています。初産婦さんが会陰マッサージを行うことで「会陰切開が必要となる確率」、「おまたの傷を縫う確率」が低下することが報告されています。また経産婦さんでは、産後の持続痛も軽減することが知られています。
またおまたの傷が大きくなると産後にガスやお通じや漏れやすくなるのですが、近年の報告では会陰マッサージがこれらの「ガスやお通じのが漏れてしまうリスク」を低下することも指摘されているんです。
3) 会陰マッサージの具体的や方法や開始時期・頻度は?

このように妊婦さんにとっては嬉しい効果が証明されている会陰マッサージですが、残念ながら日本の産婦人科学会や助産学会は具体的な方法について言及していません。そのため今回はイギリスの産婦人科学会が推奨している方法を中心に紹介していきます。
開始時期
妊娠35週以降に会陰マッサージを定期的に行うことで会陰切開を防ぐ効果があると報告されています。そのためイギリスの産婦人科学会も妊娠35週以降の開始を推奨しています。
妊娠34週以降に開始しましょうと書いてある資料もありますが、早くから開始すればするほど効果が高いというわけではないことが知られています。少なくとも妊娠33週までに開始することは推奨されていません。
頻度
イギリスの産婦人科学会は毎日マッサージすることを推奨していますが、週3~4回マッサージすれば十分に効果が期待できるとする報告もあります。そのため目安は週3~4回、できる方は毎日でもOKというイメージです。
ちなみに週1~2回でもマッサージしないよりはいいと書いてある資料もあるため、なかなか定期的にできなくても思い出したときにマッサージするだけでも構いません。
方法

- 爪を短く切り、指輪を外して手をきれいに洗う(おすすめは入浴後)
- 体操座りか膝を立てたあおむけ寝の体勢をとる
- 両手の親指にオリーブオイルやアーモンドオイルをつける
- 両手の親指の第一関節を腟に挿入し、肛門に向かって軽く圧をかける
- U字を描くように親指を左右にゆっくり動かす
- ④と⑤を5~10分くりかえす
最初の1~2週間はヒリヒリするような痛みを自覚する方もいらっしゃいます。痛いときは力を緩めたり、無理せずお休みしましょう。両親指を挿入するのが難しい場合は片手のみでも構いません。
4) 会陰マッサージをしてはいけない人はいるの?

会陰マッサージは正しく行うと効果的ですが、場合によっては感染(細菌やヘルペスなどのウイルス)の症状を助長させてしまったり、切迫早産を悪化させてしまう恐れがあります。
もし以下のような症状がある方は会陰マッサージは控え、妊婦健診で担当の先生に相談してください。
- 感染を疑う症状(かゆみ、おりものの量や色/においの変化、びらん、疱疹など)がある
- 性器出血がある
- 強い痛み/灼熱感/しびれが出る
- 切迫早産などで医師から安静を指示されている
5) 今日のまとめ
今日もお疲れさまでした。
「妊娠35週を超えたら無理ない範囲で会陰マッサージを!痛みや感染症状、切迫早産徴候があればすぐに中止を!」という話、ご納得いただけましたでしょうか。
会陰マッサージをご自身でされる方は実際には少ないです。ですので無理してトライする必要はありません。興味のある方は、会陰マッサージを控えた方がいい方に該当しないか確認したうえで試してみてくださいね。

