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アブリスボって打ったほうがいいの!?

こんにちは!

突然ですが皆さんは、「アブリスボ」って聞いたことはありますか?

アブリスボとは2024年から発売された、妊婦さんが接種できるRSウイルスのワクチンです。お母さんが打つことで赤ちゃんがRSウイルスにかかりづらくなるという、新しいタイプのワクチンなんです。

今日はアブリスボとは何か、接種するメリットやリスクはあるのかなどを徹底的に掘り下げていきます!

今日お伝えしたいこと

今日お伝えしたいことを一言でまとめると、「生まれたばかりの赤ちゃんがかかりやすいRSウイルスは重症化して入院になりやすい怖い感染症!アブリスボはそんなRSウイルスから赤ちゃんを守る救世主になるかも!?」です!

では解説していきましょう。

  1. アブリスボってなに?
  2. RSウイルスってどんなウイルスなの?
  3. アブリスボを打つとどのくらい効果があるの?
  4. 危険性や赤ちゃんへのリスクはあるの?
  5. いつ接種すればいいの?
  6. 他にも母子免疫のワクチンってあるの?
  7. 今日のまとめ

1) アブリスボってなに?

先ほどもご紹介しましたが、アブリスボとはRSウイルスに対するワクチンです。

ワクチンというとインフルエンザやコロナウイルスのワクチンのイメージがあると思いますが、これらのワクチンは接種した本人が感染するのを防ぐためにあります。一方で、アブリスボは妊婦さんが接種することで産まれた赤ちゃんがRSウイルスに感染するのを予防する(感染しても重症化を防ぐ)ことが目的なんです!

2) RSウイルスってどんなウイルスなの?

RSウイルスは下気道感染症(気管支炎・肺炎)の原因となるウイルスです。非常に感染力の高いウイルスで、1歳になるまでに約50%以上が、2歳までにはほぼ100%が感染すると言われています。

ただの喉かぜで終わることも多いRSウイルスですが、重症化するリスクがあるのもRSウイルスの特徴なんです。2歳未満の下気道感染症で人工呼吸が必要となった子のうち、50%がRSウイルスに感染していたことが報告されているんです。

特に生後6か月未満でRSウイルスに感染すると、無呼吸や急性脳症(脳に炎症が及び障害をきたすこと)のリスクがあるうえ、治った後も喘息を発症するリスクが高まることも知られています。

つまりRSウイルスは、「感染しやすく」「重症化しやすい」、非常に注意しなければならないウイルスなんです。

3) アブリスボを打つとどのくらい効果があるの?

そんなRSウイルスを予防する救世主として2024年に誕生したのがアブリスボです。アブリスボの有効性について、アメリカや日本などの計18か国で7392人の妊婦さんを対象に大規模な研究が行われました。その結果以下のような有効性があると報告されたのです。

  1. RSウイルスによる下気道感染を予防する効果について
    • 生後90日までの発症率は、1.6%から0.7%に減少(57.1%減
    • 生後180日までの発症率は、3.4%から1.6%に減少(51.3%減
  2. 特に重症なRSウイルス感染を予防する効果について
    • 生後90日までの発症率は、0.9%から0.2%に減少(81.8%減
    • 生後180日までの発症率は、1.8%から0.5%に減少(69.4%減
  3. RSウイルス感染症による入院を予防する効果について
    • 生後90日までの入院率は、0.9%から0.3%に減少(67.7%減
    • 生後180日までの入院率は、1.8%から0.5%に減少(56.8%減

とてもざっくり言うと、アブリスボを接種することで生後6か月までにRSウイルスに感染する確率や、それによって入院する確率は半分以下になり、重症化する確率は約7割低下するということです。

4) 危険性や赤ちゃんへのリスクはあるの?

妊婦本人にみられた主な副反応は以下の通りです。

  • 注射部位の痛み:41%
  • 全身の疲労感:46%
  • 頭痛:31%
  • 筋肉痛:26%
  • 吐き気:20%

いずれも一時的な症状で、ほとんどは自然に改善しました

また早産や赤ちゃんの発育不全、そのほか妊娠の経過に関する異常はアブリスボを接種しても増加しませんでした

5) いつ接種すればいいの?

日本では、アブリスボは妊娠24〜妊娠36週の間に1回接種することが決められています。その中でも、僕は妊娠28〜妊娠33週の接種をお勧めしています。その理由は、アブリスボについて以下の2つのことが分かっているからです。

  • 妊娠24週~27週に接種するより、妊娠28週以降に接種した方が有効性が高い
  • 十分に赤ちゃんに抗体が移行するまでには、接種してから2週間かかる

日本の赤ちゃんの約94%が妊娠37週以降に産まれますが、少し早産になり妊娠36週台に出生してしまう赤ちゃんも約3%います。仮に妊娠34週に接種したのに妊娠36週で赤ちゃんが産まれてしまった場合、せっかくワクチンを打ったのに十分に効果が発揮できなくなりかねません。

思いがけず少し早産になってしまう方もいらっしゃるので、妊娠33週台までには接種しておくことが望ましいです

6) 他にも母子免疫のワクチンってあるの?

このように、お母さんがワクチンを接種することで赤ちゃんを感染から守ることを「母子免疫」といいます。近年母子免疫は非常に注目されています。

RSウイルスの次に広まると考えらる母子免疫ワクチンは「百日咳ワクチン」です。百日咳も新生児期にかかると呼吸停止や重症肺炎を起こし、重篤な症状を起こしやすいことが知られています。日本では出生後2カ月で百日咳のワクチンを接種することになっていますが、それまでの期間は赤ちゃんに抗体がないんです。

実は欧米諸国では、既に母子免疫を狙ってお母さんが百日咳ワクチンを接種するのが一般的になっています。日本ではワクチンの供給が足りていないなどの理由からまだ普及していませんが、今後「妊婦さんがワクチンを接種して赤ちゃんを守る」流れが広がっていく可能性があります

7) 今日のまとめ

今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。

生まれたばかりの赤ちゃんがかかりやすいRSウイルスは重症化して入院になりやすい怖い感染症!アブリスボはそんなRSウイルスから赤ちゃんを守る救世主になるかも!?」というお話、ご理解いただけましたでしょうか。

ワクチンについては考え方は様々なので、決して接種を強制するものではありません。しかし特に上のお子さんがいる方や、普段から子供と接する機会が多い方にとっては、すごく心強いワクチンであると思います。

気になった方は、次の妊婦健診でご担当の先生に相談してみてくださいね!

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